主体性

今日は日本子ども育成協議会の7回目のフォーラムがありました。

昨年は基調講演の後、シンポジウムで企業認可保育園や東京

都認証保育園、横浜保育室などの園長によるパネルディスカッ

ションがあり私も横浜保育室として参加しお話をさせていただいた

のを思い出します。

今回は子どもの環境を考えるということがシンポジウムのテーマ

当園でも子どもの遊びの環境を見直そうという考えがあり、職員も

3名参加しお話を聞いてきました。

その中で午後の分科会での面白いお話を皆さんにお聞かせしま

しょう。

子どもの考える力についてです。

ある保育園で卒園間近かの年長児を連れて、ファミリーレストラン

に行ったそうです(これに関しての良し悪しは別として)

子ども達は自由にメニューを選び食事が来るのを待っていた。

その間静かにしなさいなどの注意はせず、子ども達がどんなふう

に待っていたのかただ見守っていたそうです。

多分この園の方針として常にこのスタイルなのだと思います。

徐々に食事が運ばれてきたが一人分だけなかなか来なかった。

目の前においしそうなごちそうが運ばれてきても最初はみな食べ

ないで待っていた。しかしまだ一人分だけ来ない(手違いで注文

が入っていなかったようです)…ここからです。面白いのは。

待っていなさいとも食べちゃいけないとも大人は一言も言わなか

ったけれど、7名の子供のうち、5名はずっと待っていた。

2名の子が食べ始めた。それをあえて文句言う子もいない。

カメラマン(園長)が食べないの?と聞くと、まだ一人来てないから

待ってるの、という返事。そのうち、最後の一人分も無事運ばれて

きて全員がやっと食べ始めた。

帰りのバスの中で、食べないで待っていた子に何で食べなかったの?

と聞くと、じゃみんなに聞いて、一人一人言おうよと子どもから声が

上がる。

まだ来ていない子がいて、ひとりで食べるのはかわいそうだから

待っていた。一緒にお話ししながら食べた方が楽しいと思ったから

食べなかった。それぞれにさっきの気持ちを話し始めた。食べた子

にも聞いた。

お腹すいたから食べた。おいしそうだったから食べた。

誰も怒っていないから素直に話している。

そうか、お腹がすいたから食べたんだ~と園長も苦笑い。

待っていてもらった子にも聞いた、待っててくれてうれしかった、と。

食べてしまった子は少々ばつが悪くなってきたようだが、悪びれ

てもいない。

だって~お腹すいてたんだもん、と笑いながら話している。

じゃあさ、もし、自分だけ来なかった時自分だたらどっちがいい?

すると、食べてしまった子は、待っててほしいと。

言ってて自分でも矛盾がわかったのか、笑いながら下を向く。

大人は、ビデオを回しているが答えは出さない。

5歳の子ども達の話し合い。

この話し合いは、大人がこうしなきゃいけないという決めつけをして

いないからできたこと。

自分だけ食べちゃいけない、人のことも考えよう・・

大人はつい口を出してしまう。

もし、そんなことしたらいけないということが決まっていたら、

それを守らない子を非難する子も出てくるだろう。

また気持ちに素直に食べてしまう子もいなかったかもしれない。

しかし、そうであればまたこの論議もなかったろう。

この話し合い、非難されることもなく、でも、自分のしたことの矛盾に

自然に気付く見事な話し合い。

もう一つの話。

かるたをすらすらと読んでいる子がいた。

字が読めるようになったわけではなく、すべて暗記しているのだ。

ちょっと前のその子、みんなが散歩に行こうというのに本を読み

たいから行かないという。誘ってもどうしても行かないというので

おいていくことにした。

その子の周りにいるのは、自分より小さな乳児組の子ども達。

その子は小さな子に向かって絵本を読みだした。

カメラをまわしていた園長が覗き込もうとすると見ないで~と。

まだ字を覚えたての子は字を読むことに自信がなかった。

でも他の子がしているように絵本を読んであげたかったようだ。

文字に関心が出てきた頃にはよくある姿。

もしここでみんなが行くから行かないとダメよと言ったら、誰もいな

くなったところで読んでみようという思いは達成でできなかったろう。

また、職員の連携がしっかりとれていなかったら、ひとりの子どもを

他クラスの職員に託しておいて行くことはできなかっただろう。

一人一人の子どもの成長をしっかりと理解し、見合う体制が取れて

いるからこそ出来ること。

それからその子は書くことにも興味を覚え、どんどんと吸収していった。

幼稚園と保育園、いまだに幼稚園はお勉強をするところで保育園

はただ預かってもらうところという意識が根強いけれど、お勉強は

何も机の上でするだけではない。

先の話し合いの中で女の子が2人が食べたけど、5人は待ってい

たと、さらっと言っている。

7人いる中で、2人は食べた。残りは何人?

これって小学校での算数の文章問題。

生活の中で様々なことを学ぶ子ども達。

大人の決めつけで子どもが育つのではない。

子どもが自分の考えで行動する姿を、しっかりと見守られるから

こそ体験して身につくことは多々ある。

教えてもらうだけではなく、子供は生活の中で、感覚でいろいろな

ことを覚えていく。

子どもの育つ環境は教えることではなく、感じることのできる場面、

その土壌を準備してあげることなのだと子どもの姿を見て、再認識。

見ていてうれしくなるような報告であった。

これってお家の中でもいろいろな場面で通じることではないでしょうか?

横浜市認定保育室 矢向つぼみ保育園
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